人とつながり、自立から自律へ(12月の学校だよりから)

 2020年も残り数日となりました。まさに、「コロナで始まりコロナで終わった1年」でした。感染拡大により私たちの生活や社会は大きく変わりつつあります。「新しい生活様式」を身に付け、「三密回避」は当たり前となりました。「ソーシャルディスタンス」は大切ですが、学校は心と心のつながりにおいては、やはり密接でありたいと考えます。

 本校では、たび重なる臨休措置が迫られる状況の中、行事削減を考慮しながらも、小中のつながりを大切にした「縦割り班活動」を重視してきました。運動会が中止になっても、それに代わる取組を考えることができないものか? 児童会や生徒会の子どもたちが中心となり、いくつかの種目に限定して行う代替行事を企画立案しました。練習から当日の競技本番まで、個の力を精いっぱい発揮すること、仲間と協力しやり遂げることで達成感を味わうことができました。当日は多くの保護者の方々の応援もいただき感謝いたします。また10月に行われた文化祭では、「こんな時だからこそ子どもたちの大きな成長につながる体験をさせたい」という思いから、思い切って文化センターでの開催に挑みました。結果、子どもたちも例年以上に意欲をもって取り組むことができました。個や集団のめあてを明確に持ち、計画・実行・振り返りを重視して進め、この積み重ねが自己存在感を強め、共感的な人間関係を深めることになりました。子どもたちも成果を実感すると共に、互いの心のつながりをより密にする経験となりました。これも保護者・地域の皆様のご理解・ご協力あってのことと深く感謝申し上げます。

 さてコロナ禍で全国的な臨休措置が長引き、子どもたちがずっと家の中での生活を余儀なくされる状況の中、多くの子どもたちが生活リズムを狂わせゲーム・メディア漬けになったと言われています。また学校再開後もそうした生活からの立て直しに苦労し、その後遺症に今も悩まされ心のケアが必要な子がいます。しかしその一方で、休みが続いても自分の生活スタイルをあまり崩さない子もいます。それどころか、長期休業を逆に自分のやりたい学習に打ち込むチャンスととらえ、普段以上の成果を上げる子さえいます。本校にもその両者が存在しているように感じます。その違いは一体どこから来るのでしょうか?

 ある研究会で、「家庭で学習やメディア利用時間等について話し合い、自分が納得するルールを自分で定め、それを守り実行できる子」が、コロナ禍でも影響を受けない子どもに共通する点だと報告されていました。「稚内の子育て提言」にもこれと全く同じ記述があり、子どもの自立と自律の心を育てようと呼びかけられています。本校の教育目標も、まさに「自立から自律へ」です。決められたことを決められた通りに行うことも必要ですが、これからの時代はそれだけではダメでしょう。「自分で考え、決めて、実行できる力」を伸ばしていくことこそ求められます。そのことが生きる力の土台であり学力向上の基本でもあることが、このコロナ禍でより強く示されています。

 明日からは11日間の冬休みです。いつもと違って短い期間ではありますが、子どもたちには楽しく有意義に過ごしてほしいと思います。そして来たる2021年が、子どもたちにとってさらに「人とのつながりを強め」「自立から自律へ」と向かう1年になることを願い、天北の教育活動を進めていきたいと思います。

 保護者・地域の皆様、どうか良い年をお迎え下さい。